TKG Kobe Museum Wang Huaiqin Exhibition

「山を出て-王懷慶展」が兵庫県立美術館で開催され、ノイズは会場構成を担当しました。中国を代表する現代画家のひとりである王懷慶の初の大規模な回顧展で、台湾のTina Keng Galleryが主催しました。王懷慶の独特な作品には、伝統的な中国文化の遺伝子と現代性とを併せ持つ抽象的なジオメトリーと日常にあるありふれた素材の質感とが融合されていて、大胆な手の痕跡やテクスチャー、そして抑制された色使いを用い、2次元と3次元の間を力強くかつ繊細に横断する表現が特徴です。スケールが大きく、平面と立体を融合した王懷慶の作品を展示するため、同美術館の展示ギャラリーならではの大空間をできるだけそのまま使うことを意識しました。作品の強い存在感を受け止められる強さをつくるため、展示要素は平坦な壁ではなく、十分に人が入れそうな大きさのボックスとしました。様々な大きさやプロポーションのボックスをギャラリー内部に配置し、それらのの配置の密度や角度、ランダムであるかシンメトリーであるかなどの構成の質を変えることで展示空間に変化あるリズムをつくり、個別の場所の個性と個々の作品の個性との相性だけをルールに作品を年代や形式に関係なく配置しています。本展示の主眼となる代表作品”Out of the Mountains” (山を出て)は、ギャラリーの中心に唯一シンメトリーに配置したひときわ大きなボックスに展示しています。このボックスだけには例外的に内部空間を設け、王懷慶のスケッチを展示しています。メインギャラリーの広さとボックス内の親密さとに明快なコントラストを出すため、このスペースだけは暖かみのある色合いや材料で仕上げました。イタリアの町でドゥオモとその広場が持つ中心性が核としてあり、底から外れるにしたがって幾何学的整合性の強さやスケールが断片化されていくような、さまざまな体験が隠された一つの街を歩き回るような体験を構成することを意図しています 。王懷慶の作品群は、目前の時間や空間といった概念にとらわれず、でも個別の具体性をないがしろにせず、大小のスケールの間をズームインとアウトを際限なく繰り返しながら連続するランドスケープのようです。圧倒的な現代性を保ちつつ、それでも中国固有の文化的ルーツにも真摯な王懷慶の作品群を展示するにあたり、中国伝統絵画に出てくるようなランドスケープを辿る旅人たちのように、来場者たちが山の間を自由に歩き回り、思い思いの順路をたどりながら体験できる展示空間をデザインしました。

YEAR: 2015

CATEGORY: exhibition

STATUS: built

LOCATION: Hyogo Prefectutral Museu of Art / Kobe, Japan

PHOTO CREDIT: Tina Keng Gallery

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