WHAT MUSEUMの特別展「建築模型展―文化と思考の変遷―」の出展協力として、模型の可能性を追求したプロジェクトです。3次元の形だけでなく、本質的にもっと高次元の情報の組み合わせを検討できるように、「模型」という枠組みからデジタル技術が切り開いていく可能性を試みています。
一般に、模型や建築とは、静的な3次元の構造物だと理解されています。従来、プロジェクトのフェーズごとに異なるスケールの模型を作り、最初は小さなボリューム模型の検討から始めて、徐々にスケールをあげて実物大に近いスケールのモックアップまでを検討し、最終的な建築を建てます。また、各スケールごとに、複数のバリエーションを比較検討し最適解を導き出すことが求められてきました。しかし、模型やモックアップという静的な表現を超えて、これらの各スケールごと、もしくはスケール内のバリエーションという複数の空間と時間のスケールの情報編集を、まとめて実行し共有する手段としてのプロトタイプ模型を製作しました。
次元拡張の第1歩として、3次元空間に時間軸を加えたことで、建築そのものや色がインタラクティブに動きます。
実空間においても、建築の高次元化はこれから目指すあり方の一つであり、本模型のモデルケースとなっている、21_21 DESIGN SIGHTの企画展「トランスレーションズ展―『わかりあえなさ』をわかりあおう」で行った会場デザイン計画は、擬似的に鑑賞者の位置や方向で色が変化し、パッシブに感じられるようにしたものです。
本模型では、その高次元性を純粋に残している点で、建築という3次元の構造物よりも本質に近いものとなりました。
1歩目から踏み込んで、今回は入れ子状に模型そのものが周囲にリアルスケールで再現され、巨大化した自分が上からのぞいているという入れ子構造を導入しました。スケールや体験主体の横断・拡張も試みています。
これからの建築は単に動くところから、鑑賞者の間にインタラクティブな作用が生まれることで、お互いの反応が増幅されていくことを能動的にデザインしていくことになっていきます。時空をまたいで、歪んでいくような体験そのものを建築が作る時代を目指しています。
【建築模型展ー文化と思考の変遷ー】 2022年4月28日(木) ー 10月16日(日)/WHAT MUSEUM
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Project Name
Information
Year
2022
Category
Design Category, Design Method, Research / Concept, Algorithm, XR
Status
Completed
Location
東京, 日本 Tokyo, Japan
Photo Credit
瀬尾憲司, NOIZ Kenji Seo, NOIZ
URL
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