The HEART

平和不動産が中心となって進められている、日本橋兜町・茅場町地区再活性化プロジェクトの中心を担う施設として建設されたオフィスビル「KABUTO ONE」のエントランスホールに、新しい兜町、さらには日本の金融の新たなシンボル、脈動するエネルギーの象徴としてThe HEARTの企画提案およびハードウェアのデザインを、noizが担当しました。

The HEARTは大きな吹き抜け空間の天井から吊られた、世界最大の可動式立体LEDディスプレイです。オフィスのエントランス空間に不釣り合いなほどの巨大なオブジェクトとしての存在感、不定期に静かに回転する動き、エントランスホール内部からはもとより、KABUTO ONEが面する永代通りや平成通りからガラス越しでも目立つ視認性など、従来の室内ディスプレイとは一線を画す、動的ディスプレイとして計画しています。

全体の構成や形態のデザイン、回転などに関する企画はnoizが、コンテンツやディスプレイ、システムのデザインや実装はAbstract Engineが、実施設計と施工は乃村工藝社が担当をしています。

幅6m、奥行き3m、高さ5.5mの立体LEDディスプレイは、ランダムな幅で4つのボリュームに分割されていて、通常はすべてがそろった状態で、不定期に各段が回転する形で、株価のリアルタイムの状況や兜町の歴史、ニュースなどの情報ディスプレイとして機能します。固定されている時にはイベント用のディスプレイとしても機能し、近くの東京証券取引所での上場イベントのサテライト会場や記者発表など、映像と空間を一体化した多様なイベントにも対応可能です。株価の上昇や下落動向に応じてディスプレイの色が刻々と変化し、浮遊する巨大なボリュームが回転するという非日常的なスケール感とも相まって、あたかもSFの世界の一部のような、現実と非現実、情報と物質など、多様な世界を跨ぐような不思議な感覚を呼び起こします。

The Heartという名前は、ここからパルスのように脈動しながら発信される情報や動きが兜町全体、ひいては日本の経済や世界にまで伝わる、その中心であり続けるという意思の表明であり、経済の血液である金融を、常にここから動かし続けるという願いが込められています。

「The HEART」の回転軸の下には、日本金融界の父である渋沢栄一氏が大切にしていた縁起物の赤石を設置し、「KABUTO ONE」や兜町の歴史や理念の象徴として、来訪者が実際に触れられる形で設置されています。新しさだけでも、歴史や蓄積だけでもない、新しく開かれた兜町、日本金融界の象徴として、単独のビルのエントランスという機能を超えた、開かれた公共空間としての演出を、The HEARTは担っています。

Year: 2021

Category: installation

Status: Completed

Location: Tokyo, Japan

Photo Credit: Heiwa Real Estate Co., Ltd.

Link: Good Design Award

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