Waterscape and Playing Dome

noizが台湾南部の小さな町、隆田(Longtien)の駅前にできた公園に設置されるパブリックアートのコンペティションで2020年に最優秀に選考された提案が、2022年3月にオープンしました。Waterscapeと題されたこのパブリックアートは、広大な田園風景に囲まれた公園の中で、ランドスケープに溶け込むように、主に二つの要素で構成されています。

一つは不定形な鏡面仕上げのステンレスプレートによるインスタレーションで、これは近くにある烏山頭ダムによってできた、有名な「珊瑚譚」という湖のミニチュア版です。隆田からほど近い山間に隠れた美しい湖「珊瑚譚」のように、フラットな鏡面は周囲の風景を映し出します。珊瑚譚を形成する烏山頭ダムは台湾農業の礎とされ、今でも肥沃な嘉儀平野を潤す、台湾農業の水利の要として機能する台湾最大級のダムで、この建設には日本人技師である八田与一が大きく貢献したことでも知られています。この台湾近代化の遺産を地域の誇りとして身近に感じてもらうため、地域の誇りの象徴として、 同時に子供が触れて体で感じられる遊具として、 正確に1/150スケールの常設の湖を設置しました。

もう一つはふわふわドームと呼ばれる、常設のエアドームによるトランポリンです。二連の小さなドームはミニチュア珊瑚譚を見下ろす丘として、その名の由来となった珊瑚譚の複雑な形状を日常で感じる展望台として、また子供たちが我を忘れて全身で楽しめる運動施設として、地域の誇りを体に刻み込む装置として機能します。同時にこの二つのドームの容積は、すぐ脇にある1/150スケールの珊瑚譚が貯め得る水量を、水のボリュームとして視覚化する学習素材でもあります。身近にある台湾農業を支える産業遺産の機能と歴史、美しさを多様な形で体験し、次世代に伝えていく施設として、このパブリックアートは複合的に機能するように計画されています。

ステンレスでできた珊瑚譚の輪郭沿いには間接照明を仕込んであり、暗くなると実際のダムとは凹凸が反転したランドスケープを照らします。実際の珊瑚譚ではあり得ないような、幻想的な鏡面の珊瑚譚が光りながら夕景の中に浮かび上がる光景は、台湾の典型的な田園風景の美しさを引き立てる装置として機能し、地域の子供たちの自分の町への誇りを育てることが意図されています。

Year: 2022

Category: installation

Status: Built

Location: Tainan, Taiwan

Photo Credit: Kyle Yu

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